「乙女の会話」




 キャロ・ル・ルシエが八神はやてと買い物に行ったその次の日。

「はいっ、今日の訓練はこれでおしまい!」

キャロを含め、新人四人はいつも通りの高町なのはとヴィータと訓練を行っていた。ちょうどその訓練が終わり、日も暮れ始めていた。

「ふぅ…お疲れ様です。」

疲れていながらも、スバルは声を元気に出していた。それに続くようにティアナ、エリオ、キャロが「お疲れ様です」と挨拶をする。

「みんな、お疲れ様。」

「明日もがっつりやるからちゃんと休んどけよ。」

笑顔で鬼のような訓練メニューを組むなのはと、厳しい口調でなのはとは違った笑いをしながらやるヴィータの実戦に近い訓練は、四人共々ベッドの中に入ったら即眠りに入れるほどのハードさである。



 キャロはエリオと一緒にゆっくり歩いていると、後ろのなのはとヴィータの会話が聞こえてきた。

「…でよー、昨日の夜、はやてがプレゼントって少し大きめの箱で渡してくれたから、何だろうって思ったら巫女の服だったんだよ。」

「あ、あはは…。はやてちゃん、何でそんなものを…。」

「しかも、シグナムにはゴスロリで、シャマルには何故かスクール水着だぜ?」

ヴィータは困った様子で喋り、なのはは苦笑いしつつ聞いていた。その会話を聞いていたキャロも、昨日のはやてとの買い物を思い出し、苦笑いしていた。

「キャロ、どうしたの?」

エリオは不思議そうにキャロをのぞき込んでいたがキャロは「な、なんでもないよ。」と両手を振りながら誤魔化していた。

(やっぱりはやてさん、あれ渡してたんだ…)

そう思いつつキャロはエリオと宿舎へ戻っていった。



 夕食は相変わらず、スバルがたくさん食事を盛ってそれをちょびちょびエリオに分けて山盛りの光景が食堂で繰り広げられていた。例えるならばチョモランマとK2が新人四人のテーブルにそびえている。しかし、それらの山も食事の合間に会話をしながらでも一時間も満たないうちに二人の胃の中に吸収されていった。

最初の頃はキャロも驚いていたが、次第に見慣れていった。因みにエリオは最初の頃は驚きつつも、最後の方は残すまいと詰め込むように食べていたのだが、段々とその量に慣れていって普通にぺろりと平らげてしまっている。

「ごちそうさま〜」

食べ終わったあと、手を合わせるスバルの表情はとても幸せそうだった。食事を作っている人もその様子を見たらさぞかし喜ぶだろう。

 キャロも最近は好き嫌いもだいぶ少なくなってきている。その理由に二人の食べる姿以外にも、ヴィヴィオがいることによって、ヴィヴィオの手前でお姉さんという立場から残すのに抵抗を感じ始め、嫌いなものでも極力エリオに渡さず自分で食べていた。今日のメニューはそんなに嫌いなものもなく、すぐに食べ終わって談笑をしていた。

「今日の朝もスバルったら起きたら寝相が悪くてベッドから転げ落ちちゃっててさ…」

「あーティアそれ言わないでって」

「しかもよだれ垂らしながら、おかわり〜って寝言も言ってて。」

「ストップストップー!」

「あはは」

いつものようにティアナとスバルのやりとりを見つつキャロとエリオは笑っていた。そして、四人は食事を終えたら食器を片づけてそれぞれの部屋へと帰っていった。



 キャロは部屋に戻るとすぐにお風呂の準備をし、浴場へと向かっていった。

服や下着をするすると脱いでいき、カゴに入れ浴場のドアを開けると

ガラガラガラ…

「あ、なのはさんとヴィヴィオちゃん。」

なのはとヴィヴィオが先に身体を洗っていた。

「あ、キャロ。お先に使わせてもらってまーす。」

「キャロお姉ちゃんも一緒にお風呂〜♪」

キャロもなのはの隣に座り掛け湯をしてそれから髪の毛を洗い始めた。その様子をなのははヴィヴィオに言い聞かせるように

「ほら、ヴィヴィオ。キャロお姉ちゃん、ちゃんと上手にシャンプーしてるでしょう?あと、ちゃんと目をつむらないからシャンプーが目に入ってるんだよ?」

「あう…本当だ。キャロお姉ちゃん上手だね。ヴィヴィオも上手にシャンプーできるようになりたいな。」

その会話を傍らで聞きつつ二人の視線を浴びながら髪を洗っているキャロは少し照れくさいような気持ちだった。

 そして、キャロは身体も洗い終わりお湯で身体を流すと二人が浸かっている浴槽へと入った。

「キャロ、今日は練習お疲れ様。」

「お疲れ様です。」

話している脇でヴィヴィオはアヒルのおもちゃで遊んでいた。

「そういえば、そんなにキャロと一緒に。っていうことってなかったよね。」

「確かにそうですね。」

そこから、普段の練習のことについて話が盛り上がった。キャロはすごい大変だということを言い漏らしていたが、なのははそれをお構いなしに「これからどんどん訓練レベル上げていくからねー」と笑顔で言っていた。

 話している時間が長かったのか

「なのはママ、そろそろお風呂上がりたい。」

とヴィヴィオが言っているのに対し、なのはは

「じゃあ、あと一万数えたらいいよ。」

「ちょ、ちょっとなのはさん!長過ぎですって!」

と、突拍子のないことを言い始めたのでキャロは必死に止めて百で落ち着いた。なのはは「冗談、冗談」と言っていたがどこか冗談じゃすまないような感じだった。



「…きゅうじゅうきゅう、ひゃーく!」

「はい、ヴィヴィオ。おりこうさん。」

「えへへ」

ヴィヴィオが数え終わった所でなのははヴィヴィオの頭を撫でて、そして体を拭きキャロも一緒に風呂を出た。



バスタオルで体を拭き、そしてパジャマに着替えそしてドライヤーで髪を乾かしたら三人で浴場を出たのだが、廊下で歩いていると突拍子もなくなのはが

「で、エリオとはどうなの?」

「えっ!?」

「しーっ」

おもわず大声を上げてしまったので廊下にキャロの声が響いてしまった。

「べ、別にお友達ですよ…?」

「ふぅん…そうなんだ。」

そう言うなのはの口調と目は全く信用していなかった。それを紛らわすように

「な、なのはさんはユーノさんとはどうなんですか?」

「あぁ…ユーノ君ね。まだ親友って感じかな?」

「まだってことは…。」

冷静に答えていたなのはだが、キャロがそう言うと顔を赤くして

「べ、別に深い意味はないよ?」

と少しあたふたしていた。キャロが思っていることは当たっているようだ。

「でも」

「?」

「こうやって、仕事が忙しいと恋とかそういうのって考えてられないよね。」

「はぁ」

なのははヴィヴィオに「難しいお話しでごめんね」と言いながら抱っこをして、話を続けた。

「目まぐるしく色々なこと起きちゃうし、それに今がすごく楽しいしね。……いっそフェイトちゃんと結婚しちゃおっかな?」

あははと笑いながらなのはは言った。

「そうしたら、私もヴィヴィオちゃんと同じで、フェイトさんだけじゃなくてなのはさんもお母さんになるんですね。」

「何だかそれ、すごい家族だね。」

そうやって話しているうちにキャロの部屋の前まで着いた。

「じゃあキャロ、お休みなさい。」

「はい、なのはさん。ヴィヴィオちゃんもお休みなさい。」

「お休み〜」

手を振ってキャロは部屋に入り、寝る支度をしてベッドに入っていった。



 そして数日後の朝。場所は食堂。

「フェイトさん、おはようございます。」

「キャロ、エリオおはよう。」

執務の仕事でフェイトが機動六課まで戻ってきたのだが…

「なのはおはよう。………って何これ?」

にこにこと笑うなのはがテーブルの上に置いていたのは

「婚姻届って!?しかも私となのはが!?」

それを聞いてキャロは思わず

「なのはさん、あの時の会話のこと本当にやらなくても」

と苦笑いをしつつ言った。それに対して

「いやいや、あの時思いつきでやったんだけど、さすがにこれはフェイトちゃんをドッキ……」

なのはは「ドッキリさせようとしただけだよ」と言うはずだったが

「まぁ、なのはとならいいかな。」

何とも言えない空気がその場に流れるのであった。



〜fin〜




後書き

というわけで前回の「部隊長には敵わない?」にリンクさせた作品であります。なのはSSとしては二作品目ですね。前作は「魔法少女リリカルキャロ〜時を翔る魔法少女〜」の原稿の合間(なんと九月九日なのでぴったり三ヶ月前!)に書いたものなのですが、今作はリリキャロ執筆が終わって私の周辺事情(課題・発表、期末テスト)も一段落ついたところで書かせて頂いた作品でございます。ぐだぐだな上にオチがあんなんでちょっぴり申し訳ないです。

今回はなのはSNSでの999&1000HIT御礼作品というわけで。なのは×キャロといった感じ。ちょいとヴィヴィオも一緒に出てきましたが、なのはさんとの絡みを中心にしたかったのでそこまで動かしてないです。ヴィヴィオ好きのそこのお兄さん、ちゃんとヴィヴィオとキャロが戯れるSSはちゃんと作りますぜ(ぉ

リリキャロ執筆が終わってからレポートは嫌になるぐらい書きましたが、小説は「ほぼ」何も書いていなかった状態だったのでさすがにマズイかなという部分がありますが、定期的にSSは書けるようにしたいですね。

では失礼します。



2007/12/9 AM2時 Sky-blue









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