「ほんの出来心」



「やぁあぁー!」

かけ声と共に、バシンッバシンッと竹刀がぶつかり合う音が鳴り響く。

室江高校剣道部ではいつもと同じように放課後の練習をしていた。

「よーし、一旦練習やめ!」

顧問の石田先生の声の共に音が鳴りやみ、それぞれが休憩に入る。

「ふー疲れるねぇ。」

そう言いながら、タオルで額の汗を拭うのは、剣道部部長の千葉紀梨乃。ハードな練習をこなしつつも、顔は…いや心からも満足げにしている。

「キリノ〜づがれだー。」

「もう、さやったら。まだまだ頑張らないと…よしよし。」

「ごろごろ…にゃんにゃん。」

紀梨乃が膝に転がってきた鞘子の頭を撫でると、鞘子は猫のように喉を鳴らして(?)体を丸めた。

「先輩二人とも仲がいいですね。」

感心するように、勇次が言う。

「そうね。まぁ私とダン君ほどじゃないですけどね。」

「そうなんだな。」

「…まぁ二人は、うん。そうだね。」

バカップル二人に、苦笑いをせざるを得ないようだった。

「よーし、そろそろ練習再開するぞ。そこの二人も始めるぞ?」

「「はーい。」」


◇ ◆ ◇


そして、練習時間が過ぎていき、日が落ちていく頃合い。

「よーし、やめ!今日の練習はこれぐらいでいいだろう。」

この声と共に部員一同から「ふーぅ」という声が漏れる。

「ちゃんとゆっくり寝て、また明日の練習に備えろよ。」

「「「はい!」」」

「それじゃあ俺は仕事があるから先に帰るから。紀梨乃、戸締まりは任せたぞ?」

「はい、わかりました。」

敬礼のポーズをしながら、紀梨乃は道場の鍵を受け取り、そして石田先生は教員室へ行った。

「それじゃあみんな、私が戸締まりしておくから先帰っていいよー。」

「はーい。紀梨乃先輩お疲れ様です。」

「うん、お疲れ様。」

みんな道場から出て行く中、一人だけ残っている人がいた。

「さや、先に行ってていいよ?」

「いやいや、紀梨乃もお疲れさんなんだから、手伝わないと。」

「いいのに…。ありがとうね。」

お互い見合って笑い、それから窓の戸締まりの点検をし、施錠した。

「…それにしても、こんなに活気が出るとは思わなかったよ、うん。」

頭の後ろで手を組みながら鞘子は言う。傍らで一緒に歩く紀梨乃は、嬉しそうな表情で「そうだね。」と照れ笑いをしていた。

「まぁこれも、タマちゃんのお陰でもあるけど、部長の地道な努力のお陰だねっ!」

鞘子は頭の後ろで組んでいた手を解き、紀梨乃の頭を撫でた。

「ん…もう。照れくさいって。」

そう会話をしていくうちに、日は沈んであたりは暗くなってきた。

「あれ?みんなもう帰っちゃったんだね。部室の電気が消えてる。」

「あら、そうみたいだね。しかも部室の近くの電気が切れちゃってるからよく見えないや。紀梨乃、部室の電気のスイッチわかる?」

「んーちょっとわかりづらいかも。」

「じゃあ私が入れるね。」

日が完全に落ちてしまっていて、さらに暗くてよく見えない状況のため手探りでその場所を探すしかないようだった。鞘子が手当たり次第にスイッチを探していると

ふにゅっ ふにゅっ

「おっ、何か柔らかい物に…」

「んぁ、さや違うって。」

「ほうほう?これは紀梨乃のおっぱいですな?」

「ちょ、ちょっとやめてってばぁ。」

紀梨乃がそう言っているのにも関わらず、鞘子は何故か手を止めなかった。

「いやぁ…案外柔らかいし大きいし、触りたくなっちゃって。」

「どこのおじさんなのよ。ん…んんっ…ストップー。ちゃんと電気のスイッチ探してよ。」

「探してるって。」

「それの…んっ、どこが?」

会話をしているさながらでも鞘子は胸を揉むのをやめなかった。

「いやぁ…柔らかいねぇ…癖になっちゃいそう」

「んっ…癖にならなくていいって。んんっ…んあ…あぁ…。」

「あれ?紀梨乃?」

紀梨乃の声がどこか甘みを帯びた声に変わってきていることに鞘子が気づき、慌てて手を止めた。

「あ………ご、ごめん…。」

「はぁ…はぁ…。」

「いや、ちょっとほんのイタズラでやろうと思って、それで紀梨乃の胸を揉んでみたら案外癖になっちゃって……って紀梨乃?」

「よよよよ…これじゃあ私お嫁に行けないわ…ぐすん。」

顔を手で隠しているが、鞘子が紀梨乃の口元見てみると少しニヤついているのがわかり…

「じゃあこの私がもらってあげましょうか、ぐふふ……グフッ!?」

「さーやー?おふざけもいい加減にしましょうねー?」

「さ、サー、イェッサー。」

「……それに、胸を揉むなら鞘子の方が大きいし…私のなんかより自分のを…って何言ってるんだ私。もう、早く着替えて帰りましょ。ほらほら、ドアを開けて。」

紀梨乃はそそくさと立ち上がり、電気をつけて鞘子を促すとすぐに着替えを始めた。

 


◇ ◆ ◇


それから二人は校門まで一緒に話しながら帰り、校門で鞘子は自転車を走らせた。

「紀梨乃ーまた明日ねー!」

鞘子がぶんぶんと手を振ると、それに応えるように紀梨乃も手を振った。


 鞘子は家に着いてからそして普段と同じように、夕食を摂ったり風呂に入ってからはテレビを見たりとしていたら、寝る時間になっていて気づかぬうちにベッドに寝転がっていた。

(……なんだろう、まだあの時の感触が残ってるや)

鞘子は右手を上にかざすと、少し熱を帯びた手のひらを何度も気に掛けるようにグーパーと握ったり開いたりした。

(ほんのスキンシップのつもりだったんだけど…)

数時間前の出来事を思い出した。上に挙げていた手を自分の胸に置き、あの時の感触と比べてみるが、違っていた。

(私のなんて、ただでかいだけだって…。)

自分の中での何かモヤモヤとした気持ちを丸め込むようにそのまま鞘子はそのまま眠りについた。

 


◇ ◆ ◇


一方の紀梨乃はというと、手伝いを終えて、弟たちの世話も終わったらすぐに自分の部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。

「ふぅー今日も練習疲れたなぁー。」

そう元気よく言ってみるが、心はあまり晴れなかった。

紀梨乃も数時間前の出来事を思い出していた。ただ、その出来事を思い出すと何か熱いモノが体から溢れ出てくるようだった。

(ん…やっぱダメかも…)

鞘子に触られた所を自分で触ってみる。手も胸もどこか熱を帯びているようだった。

胸を揉まれてから、あんな声をあげてしまうなんて思わなかった。あの時はうまく誤魔化したけど、胸のどきどきは収まらなかった。

(んんっ…)

気づけばどきどきを抑えるために胸にやっていた手が、抑えるわけでなく、揉むような動きになっていた。

(ダメ…なのに……)

やめようと思っていたが、けれども胸に籠もっていた熱は止められそうになかった。

「んっ…ん…ぁ…」

自然と声が漏れていた。部屋のドアは閉めてあるし、布団の中に潜っているからおそらく外に漏れることはないだろう。

最初は恐る恐る触るようにであったが、何かスイッチが入ったように胸を揉みしだき始めた。

「あっ…んんっ…あぁ、んぁ…だめぇさや…」

胸だけでなく、ぷっくりと勃ち始めた乳首にも触れる。

「んっ!」

ビクンと体が震えた。でもその心地よさが良くて、揉みながらつまんで快楽を得ていた。

「はぁ…あぁっ、んんっ、ダメっ…気持ちいいよ、あぁ…んん…。」

そうやっている中で、紀梨乃は自分の体の変化に気づいた。

「んんっ…あれ?……パンツが…湿ってる…。」

おそるおそる、胸にやっていた右手をパジャマの下に潜り込ませると、濡れているのがわかった。

紀梨乃はわかっていた。もう小学生や中学生ではないし、教室で男子がエロ本なんかを持ち込んだりしているのを見たりもしていた。だから今触っているところをいじることによってその先に何があるかを。

「ダメなのに…けど、体が熱いよ……」

わかっていた。だけれども、その先に手を出してしまった。下着が汚れるのが嫌だったので、下着をおろして心の準備をしている自分に苦笑いをした。

くちゅ…

「んっっ」

湿った秘所を人差し指で触ってみると刺激が強く、でも気持ちが良かった。

くちゅくちゅ…

「ぁ…んんっあぁダメ…くふ、んああ…」

指を秘所の上辺だけでなく、開くようにしてみると、にちゃあという淫猥な音がした。

「いやぁ…んんっ」

いやという声さえも甘みを帯び、関係無しに指は動く。湿り気が多くなり、弄る音も次第と大きくなってきている。

「んっんっ…んっあぁ…」

ぐちゅっ ぐちゅっ ぐちゅっ

「だ、ダメ…何か、何かくる……んっ…あっ、あっ…」

秘所を撫でるように回していた指が、膨れたクリ●リスに触れる。そしてその蕾をキュッと摘む。

「んっあっ、だめぇ…くる、くるっ、んっ、あああぁぁっ」

ビクン ビクンと震え、絶頂を迎えた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

先ほどの自慰行為を思い出し、火照っている頭と顔を冷やすようにベッドの中に丸まっていた。

「はぁ…何やってるんだろ…私。」

そのまま疲労に身を委ね、明日の事を頭の片隅に追いやり、紀梨乃は微睡みの中へ落ちていった。


◇ ◆ ◇


次の日の練習後。紀梨乃も鞘子もいつも通りだった。朝会った時は少しきまずさがあったけれども、紀梨乃はいつもと変わらない調子で鞘子に話しかけていた。

そして、練習が終わり、石田先生から集合がかかる。

「よし、今日もお疲れ様。まぁ昨日と同じだが、ちゃんとゆっくり寝て、また明日の練習に備えろよ。それじゃ解さ…」

「あっ、先生今日も私が戸締まりやっておきますよ。」

「おっそうか?悪いな。じゃあ、鍵渡すから、終わったら職員室まで持ってこいよ?」

「はい、わかりましたー。」

ビシッと紀梨乃は敬礼すると、紀梨乃ともう一人を除いてそれぞれ先に帰っていった。

「さや、今日も悪いね。」

「いやいや、紀梨乃もわざわざお疲れさんだよ。」

そして、二人は戸締まりをして、道場を出た。

「じゃあさやは先に部室行ってて?」

「あ、うんわかった。」

それから紀梨乃は職員室のほうへ向かい、鞘子は部室へと歩いていった。


(うーん…紀梨乃、いつも通りだったよなぁ…)

少し首をかしげつつ、部室に入り着替えを始めた。そして制服を身に纏った頃合いに。

―――ガチャ

「あっ、紀梨乃お疲れさん。」

「うん、ありがとう。」

そして紀梨乃も着替えを始めた。鞘子は椅子に座り携帯をいじっている。

「ねぇねぇ、さや?」

「ん、なぁに?」

「こっち見て?」

「うん――ってうぼぁ!?」

鞘子は携帯の画面から視線を紀梨乃のほうへずらすと、紀梨乃は…

「な、なんで裸なの!?」

「いやぁ…てへへ。」

いつもと変わらないように紀梨乃は後ろ髪を掻いて笑っていた。

「てへへじゃなくって。」

「なんというか、さやの反応はどうなんだろうな。って。」

「……良いおっぱいしていますな。じゃなくてっ。その…昨日はごめん。」

鞘子が手を合わせて思い切り謝ると、その反応に困ったように紀梨乃は両手を振った。

「いやいや…気にしてないよ………というか、その…」

「ん?」

「…昨日の続きしない…?」

照れたように紀梨乃が言うと、もちろんその言葉に困ったように鞘子は混乱していた。

「えっ…えっとんっとあの…ってわっ……」

混乱していた鞘子の手を引き、紀梨乃は彼女の唇を奪った。

「んちゅ…んんっ…」

「ん…ちゅ…んはぁ…」

合わせた唇を離し、二人は視線を絡ませあった。

「紀梨乃…ダメだって。」

「ダメなの…?」

「うっ、その視線はだめっ。」

うるうると送る紀梨乃の視線は反則なぐらいに可愛らしかった。女の鞘子がやられてしまうぐらいに。

「えー。元々は鞘子が私の胸を触ってきてそれでだもん。」

「うーあー…しょうがないわね。」

それを言われては言い返しようのないようで、鞘子は従うしかないようだった。

「うんうん。」

紀梨乃はにやーと笑い、鞘子の体と自分の体を密着させた。



そうして少女達の甘い時間が更けていくのであった。

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